マイ・リトル・ブラザー


第3章 ライトナンバーズ


ACT−6 全員集合!!
 「くたばれぇぇ!!」
巨大メカは再びハンマーを二人めがけて振り落としてきた。
もう二人には避ける力は残っていない!
 「うわああっ!!」
二人は死を覚悟して目を閉じた。

ザシュッ!!

しかし切れ味鋭い音とともに、ハンマーが切り落とされた。
 「うそおおおっ!?」
超合金製のハンマーが切り落とされ、あわてる巨大メカ。
 「あっ!あれは・・・」
アイスマン達には、空中を回転するハサミ状のカッターが目に入った。
それがハンマーを切り落としたに違いないが、見覚えにあるものだったから尚更驚いた。
それを謎の影が空中でキャッチし、アイスマン達の目の前に着地する。
 「ざまァねぇな、二人とも!」
謎の影はまるでアイスマン達を知ってるかのような口調でしゃべった。
よく見ると赤い顔をしたロボット・・・まさか!?
 「カットマン!!」
そう、カットマンだったのだ。
切れ味抜群の特殊武器“ローリングカッター”をかまえる彼の姿は、とても頼もしく見える。
 「ったく・・・抜け駆けすんじゃねーよ、エレキマン」
エレキマンを見てニッと笑うカットマン。
 「ひええ〜新手のロボットだあ〜!」
 「恐れるんじゃねえ!たかだか一体増えただけじゃねーか!!」
巨大メカのキャタピラがうなる。
 「まとめてスクラップにしてやるぜェェ!!」
再び突進を試みる巨大メカだったが・・・

ドガァァァン!!

いきなりキャタピラ部分が爆発を起こしたのだ。
 「どわ〜〜〜!!?」
 「キャ、キャタピラが吹っ飛ばされました〜!」
 「ななな、なぬう〜!!」
移動手段を失い、停止する巨大メカ。
 「へへっ」
その背後にある積み重なったコンテナの上に立っていたのは・・・
 「ボンバーマン!!」
 「助けにきたぜ、お二人さんよ」
右手に特殊武器“ハイパーボム”を持ったボンバーマンは、二人が無事だったのを嬉しそうに鼻をさすった。
 「ち、ちくしょう!!また新手か!!」
怒ったオーロは動力レバーをガチャガチャいじりまくる。
もちろんキャタピラが壊れているのだから動くはずがない。
しかし何故か巨大メカは再び動き出したのだ。
 「おおっ?見ろ、まだ動くじゃねえか!」
喜ぶオーロとは対照的に、プラタは青ざめている。
 「違いますよ、これ・・・浮いてるんですよ〜!!」
プラタの言葉通り、巨大メカは浮いている。いや、誰かが持ち上げているのだ。
 「ひええ〜〜〜!!」
 「オレを忘れてたかい?」
持ち上げている巨漢ロボット・・・ガッツマンだ。
 「ガッツマン!!」
 「オレの怪力(スーパーアーム)は・・・世界一だ!!」
そしてガッツマンは思いっきり巨大メカを投げつける。

ガッ・・・ガッ・・・ガッシャーーン!!

2,3回バウンドしながら吹っ飛ばされる巨大メカ。
その衝撃で、悪党二人組は外に放り出された。
 「あひ・・・あひ・・・」
腰が抜け、はいずる悪党二人組。
そして後ろを振り向くと、そこにはメラメラと燃え上がる巨大メカの残骸が!

ゴオオオオオ!!

 「あひゃーーー!!」
 「スクラップになったのはお前達のメカだったな・・・」
その炎の中から現れたロボット・・・ファイヤーマンだ。
特殊武器“ファイヤーストーム”で燃え上がった残骸は、超高温のあまり熔解していく。
 「ファイヤーマン・・・」
そのカッコ良さに思わず見とれるアイスマン。
 「ひ・・・ひいい・・・!」
ライトナンバーズの強さを見せつけられて震える悪党達。
もはや残った手段はアレしかないだろう・・・
 「逃げろォォ〜〜〜!!」
悪党二人は我先にと逃げ出した。
 「あっ!待て!!」
追いかけようとするアイスマンとエレキマンを、カットマンの言葉が止めた。
 「へへっ、心配するこたぁねえ・・・ヤツら逃げらりゃしねーよ」
 「?」
二人は不思議そうに、お互い顔を見合わせた。


 「ひい・・・ひい!なんなんだアイツらは!!」
 「つ・・・強すぎますう〜〜〜!!」
必死で逃げる悪党達。
しかし突然目の前に強烈な光がさし込み、二人は目を覆った。
 「うっ!?」
そして恐る恐る目を開けると、二人の少年少女がこちらをにらみつけている。
ライトナンバーズの長男長女、ロックとロールだ!!
 「あわわわわ・・・」
縄を持った二人の前に、思わずへたり込む悪党達。
 「トドメは僕達だ!!」
 「お縄ちょうだい!!」

バシッ!!

オーロとプラタはあっという間に縄で縛られた。
 「降参で〜す・・・」
とうとう白旗をあげた悪党達。
 「ロック・・・ロールちゃん・・・」
後を追ってきたアイスマンは、二人の姿を見つけ胸が熱くなる思いだった。
 「みんな・・・来てくれたんだ・・・」
兄弟達全員で自分を助けに来てくれたことにアイスマンは感動していた。
そんな彼をロールが見つけ、急いで駆け寄ってくる。
 「アイスマン!!」
そして思いっきりアイスマンに抱きつくロール。
 「良かった・・・無事だったのね!!」
これにはロックやカットマン達もビックリ!
 「あらら・・・」
その様子を見て、ボンバーマンはすかさずツッコミを入れる。
 「ヒューヒュー!妬かせるねぇ」
そしてエレキマンは、まるで自分のことのように顔を赤らめ、そっぽを向く。
 「・・・ちっ、見てられん!」



エピローグ マイ・リトル・ブラザー
・・・数分後、知らせを受けた警察がやってきて、悪党二人は連行されていった。
 「これで一件落着だね」
それを見送りながらロックがつぶやいた。
 「あ〜こんなに夜が長く感じたのは初めてよ。つかれた〜」
ロールはもう疲れ切ったという口調でため息をつく。
 「ま、ともあれ二人とも無事でよかったぜ」
ガッツマンの言葉通り、皆の表情は安心感に満ちていた。
アイスマンとエレキマンというかけがえのない兄弟達を救うことができたのだから・・・
 「ロック・・・ロールちゃん・・・カットマン・・・ガッツマン・・・ボンバーマン・・・ファイヤーマン・・・」
アイスマンは兄弟一人一人を見渡して言った。
 「みんな・・・ホントにありがとう」
その素直なお礼に笑顔で返す兄弟達。
そしてアイスマンは、一人離れて海を見ているエレキマンのもとに近寄って言った。
 「エレキマン・・・ありがとう」
 「・・・フン」
礼を言うアイスマンに対し、やはりエレキマンはそっぽを向いた。
 (相変わらず素直じゃないわねー・・・)
それを見ていたロールはロックに耳打ちし、ロックは苦笑を浮かべる。
しかしアイスマンの笑顔は変わらない。
今度はエレキマンに向かって手を差しのべた。
それに気づいたエレキマンは怪訝な表情で問いかける。
 「なんだその手は?」
 「握手・・・君とだけやってなかったんだ」
笑顔で待つアイスマン。
エレキマンはため息をつくと、その手を握り返した。
それは『よろしく』という意味と『仲直り』の意味が込められた握手だった。
 「・・・言っとくが、オレはお前を“兄”と認めんからな」
全く素直でないエレキマンである。
そんな彼にクスッと微笑んだアイスマンは次の言葉をお返しした。
 「いいよ!ボクもエレキマンを“弟”って言わない!」
その言葉を聞いたエレキマンは口元に笑みを浮かべると、さらに強く手を握り返した。
 「痛っ!!・・・痛いよぉ、エレキマン・・・」
 「フン、さっきのバカ力はどうしたのやら・・・そんなんじゃいつまで経っても“兄”と認めんぞ!!」
 「ひっどーい!!だいたい君も人のこと言えないじゃないか!!」
口喧嘩を始める二人。
 「あの二人、けっこういいコンビになるかもね」
ロールの言った言葉にロックは笑顔でうなずいた。
 「さあ、もう帰ろうぜ!ライト博士が心配してるしよ」


・・・こうして一騒動は幕を閉じた。
この一件でアイスマンとエレキマンの仲が良くなったのは言うまでもない。
変わったことといえば、アイスマンがエレキマンを尊敬の目で見つめるようになったことだろう。
アイスマンはエレキマンを“兄”のごとく慕うようになって、いっしょにいることが多くなったのだ。
まあ相変わらずエレキマンは素直でなく、アイスマンを相手にしないこともあるし、自分から話しにいくことも滅多にない。
それでケンカになることもしばしばあるのだが・・・
それでも二人の間の強い信頼感は、ライト博士及びライトナンバーズの兄弟達の誰もが感じるようになっていた。


・・・ひょっとしたら、二人はお互いのことをこう思っているのかもしれない。
『憧れの弟』『小さな兄』・・・つまり『マイ・リトル・ブラザー』と・・・


・・・おわり・・・



???
 「・・・って、ちょっと待て!ワシの出番はないのか!?」
あっ、あんたはDr.ワイリー・・・
残念だけどね、今回はあんたの出番なし。
あくまでロックが『ロックマン』になる前のお話なんでね。
 「なんじゃとォ!?ふざけるな!!だいたいワシがおらんでこの世界が成り立つはずないじゃろ!!」
そんなこと言ったってさー、こうして成り立ってるじゃん。
 「うぬぬぬ・・・くそ〜〜〜〜〜!!!」
そうやって怒ってばかりいるとさ、血圧上がるよ。年なんだからさー。
 「だ、黙れぇい!!貴様に言われとうないわい!!」
あんたはもう老後の心配しなくちゃアカンだろうけど、こっちは青春真っ只中の大学生なんでね。
あんたと違って若いんだよ。
 「何が青春だ、若造め!!覚えていろ!!この仕返しは必ずしてやる!!」
あらら、どこ行くの?
・・・それにしても執念深いねー、あのお方も。
あんなだから何度失敗しても世界征服あきらめきれないんだろうね。
 「・・・あのー、ワス達の出番もないダスか?」
 「クゥ〜ン」
 「にゃ〜ん」
ん?君たちはライトットにラッシュ、エディー、ビート、タンゴじゃないか。
ロックマンを支える名サポートロボット達だね。
 「紹介はいいよ!ホントにボクらの出番もないの?」
 「ぴいい〜!」
ごめんね〜、君達が作られたのはロックマンとワイリーの戦いが始まってからだからね。
そういうことで勘弁してちょ。
 「ちぇ〜、つまんないダスな・・・」
 「帰ろ〜、プンプン!!」
 「ぴいっ!!」
 「フーッ!!」
 「ワンワン!!」
あらら、みんな怒って帰っちゃったよ・・・
ま、いっか。これでやっと終われるよ。
それじゃ皆さん、ごきげんよ・・・
 「待ちな!」
ゲゲッ、フォルテ!!
 「くそじじいに聞いたぜ。テメー、何か小説でも書いたって話じゃねーか」
え、いや、その・・・くそー、ワイリーのヤツ!
よりによってとんでもないヤツにちくりやがって!
 「見せてみろよ!」
わわっ!ちょっと待って・・・
 「・・・ん、何だこれは!?オレ様がちっとも出てこねーじゃねーか!!」
いい?そ、それはその・・・
 「このオレ様を出さねーとはいい度胸してんな、ああ!?」
ひええ〜!
 「テメー・・・誰が最強か言ってみろ!!」
ええ!?いきなり何?
 「さっさと言え!!」
うう・・・それは・・・
 「・・・そうか、ロックマンだと言いたいんだな!!そうなんだろ!?」
そ、そんなこと言ってないって・・・
 「・・・許さねぇ・・・消えろ!!」
あわわ〜、バスターをチャージしてるううう〜!
じ、次回作には出すから許し・・・
 「メガブラストォォ!!!」
あんぎゃあああああ!!!
 「・・・ちっ、つまらねぇヤローだ・・・いくぞゴスペル!!」
 「ガウッ!!」
うう・・・行ったか・・・
じ・・・次回作書くのやめよっかな・・・
 「・・・書け・・・!」
ぐはっ!!・・・き、君は・・・
 「それが貴様の・・・宿命・・・!」
ブ・・・ブルー・・・ス・・・(ガクッ)


・・・ホントのおわり!・・・



さあ、戻ろうぜ!!


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